卵子凍結
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卵子凍結とは
卵子凍結とは、将来の妊娠に備えて、若年のうちに質のよい卵子を凍結保存しておくことを言います。
卵子は年齢を重ねると共に変化してしまい、徐々に質が低下していきます。
質の低下した卵子では妊娠する確率が下がってしまいますが、近年、女性のライフスタイルは多様化してきており、皆様が必ずしも若いうちに妊娠・出産ができるわけではありません。
卵子凍結は、そうした女性が年齢を重ねた時においても、妊娠する確率を少しでも高められる手段として利用されています。現在では、出産の高齢化対策や不妊治療の一環として多くのクリニックで卵子凍結が取り入れられています。
卵子凍結には医学的適応と社会的適応があります。
- 医学的適応:悪性腫瘍やその他疾患に罹患したが方が、化学療法などの治療によって卵巣機能が低下する可能性がある場合に、事前に妊娠する可能性を温存することを目的とした卵子凍結
- 社会的適応:体は健康であるが、加齢などにより卵子の質が低下する前に、質の高い卵子を保存し妊娠率を維持することを目的とした卵子凍結
様々な理由によって妊娠が難しくなる状況がある中で、卵子凍結は、将来妊娠を希望する人にとってその道を閉ざさないための有効な手段となっています。
将来を見据えた妊活のために~卵子の凍結保存~
女性のライフスタイルの変化に伴い、昨今では初婚や初産年齢が高くなる傾向にあります。当クリニックでは、現在妊娠することが困難で将来の妊娠に備えて若い卵子を採取・保存しておきたいという方のために、卵子の凍結保存を行っております。
卵子の年齢が高くなるにつれて妊娠率(※グラフ参照)が低下し、流産率は上昇していきます。年齢が若いときに卵子を凍結保存しておくことで、卵子を凍結した年齢の妊娠率と流産率を維持することが期待できます。
卵子を凍結保存するためには、採卵手術が必要となります。採卵準備のためには月経周期に合わせた通院やホルモン剤投与などが必要になります。
採卵手術では、卵巣内の卵胞に針を刺して処置を行います。そのため、採卵前に行う排卵誘発剤やホルモン剤投与によって卵胞が過剰に発育する卵巣過剰刺激症候群や手術に伴う腟内や腹腔内への出血、感染症などのリスクもあります。不安やご不明な点などがありましたら、事前に医師にご相談ください。
卵子凍結のメリット
- 妊娠率が高い若い卵子を凍結保存することができる
- 若い卵子を保存することによって、加齢による妊娠率低下などの不安を軽減し、安心してキャリアを積むことができる
- 将来的に事故や病気、それに伴う不妊症などによって妊娠が困難となった場合に、凍結卵子があることによって妊孕性が温存できる可能性がある
卵子凍結のデメリット
- 保険適用外の治療であるため、費用が高額になることがある
- 凍結した卵子を使用した妊娠のための治療も自費診療となるため、費用が高額になることがある
- ホルモン剤や排卵誘発剤投与による副作用(卵巣過剰刺激症候群など)や、採卵手術時の痛み、出血、感染症など合併症が起こるリスクがある
- 凍結卵子は融解後の生存率や受精率の成績が低い
- 妊娠年齢が高くなると、妊娠に伴う合併症が起こりやすくなる(妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など)
卵巣刺激 採卵から凍結保存までの流れ
- 初診
- 問診と医師によるカウンセリングを行います。卵巣凍結をご希望の場合、事前の診察や検査を行います。同意書をお渡しし、今後のスケジュールについてご説明します(スライドや小冊子などの資料を用いて説明します)
- 卵巣刺激
- ホルモン剤を投与し、できるだけ複数の卵胞を育てます。超音波検査で卵胞の発育を確認していきます。採卵前の術前採血検査も同時期に行います。
- 採卵
- 卵子が成熟したタイミングで卵巣から卵子を採取します。ご希望の場合、麻酔下(静脈麻酔、局所麻酔)の採卵を実施します
- 凍結確認
- 診察室で凍結卵子について説明を行います
卵子の凍結保存
- 将来使用するまでマイナス196度の液体窒素タンクで凍結し、長期保管します
料金表
卵子凍結保存(社会的適応)に要する費用は下記のとおりです。
卵子凍結(社会的適応)
料金(税込) | ||
初診料 | 3,300円 | |
再診料 | 1,650円 | |
超音波検査 | 4,400円 | |
ホルモン検査(検査項目などにより異なります) | 10,000円~20,000円 | |
抗ミュラー管ホルモン | 6,600円 | |
術前検査(尿検査、一般採血検査(貧血、肝臓機能、腎臓機能など)、子宮がん検診(希望時)、クラミジア・淋菌検査、感染症採血(梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV)、血液型、抗ミュラー管ホルモン) | 20,000円~30,000円 (検査項目などにより異なります) |
|
採卵費用 | 1回につき | 50,710円 |
卵子処理費用 | 1~3個 | 55,000円 |
4~6個 | 71,500円 | |
7~10個 | 88,000円 | |
11~16個 | 104,500円 | |
17~21個 | 121,000円 | |
22個以上 | 137,500円 | |
麻酔料加算(静脈麻酔の場合) | 6,600円 |
卵子凍結手技料
料金(税込) | |
1~3個 | 28,050円 |
4~6個 | 39,600円 |
7~9個 | 51,150円 |
10~12個 | 62,700円 |
13~15個 | 74,250円 |
16~18個 | 85,800円 |
19~21個 | 97,350円 |
22個以上 | 108,900円 |
凍結卵子年間保存料 | 55,000円 |
※自費診療となります。
※料金は変動する場合があります。
注意事項
- 卵子凍結は満45歳までとさせていただきます
- 未受精卵子の保存期限は満50歳までとさせていただきます
- 凍結卵子を使用した妊娠のための治療は満50歳までとさせていただきます
- 卵子凍結に伴う診療は全て自費治療となります。健康保険の適用はありません
- 採卵までの診察代、ホルモン検査代、術前検査代、薬剤代は必要に応じて請求させていただきます
- 卵巣の状況などにより複数回の採卵が必要になることがあります
- 採卵によって卵子が取得できなかった場合でも、診察代、採卵代、麻酔代などを必要に応じて請求させていただきます
- 治療の継続が難しい場合(指定日に通院できない等)、ご希望に添えない事がありますので予めご了承ください
免責事項
- 天災、災害、不慮の事故、その他やむを得ない理由により、必ずしも当該施設の責任に帰することのない理由で凍結保存物が損傷および紛失する可能性があります。その場合、損傷または紛失した凍結物については患者さんの意思にかかわらず廃棄となることがあります。
- 当該施設の責任に帰することのない理由での凍結保存物の損傷および紛失については、当院はその責を一切負わないものとします。その場合、凍結までに要した治療費、凍結料、保存更新料などの費用については返金いたしません。あらかじめご了承ください。
- 卵子凍結は新しい技術であるため、データの蓄積が十分ではありません。凍結保存した卵子を使用した妊娠、出産や出生児の発育についての予後にはまだ不明な点があります。あらかじめご了承ください。
日本産婦人科学会からのお知らせ